面接のための注意事項

特許事務所の出願公報は、チェックしておいてください。
特許事務所が、どこの会社(クライアント)の仕事を担当しているか、どんな技術分野を担当しているかをさっと見ておいてください。そしてクライアントの内容を、自分の経歴(研究内容など)と関連づけて話せるよう準備しておいてください。

(例)
「特許公報で調べたところ、御社(特許事務所)は、○○○会社などの燃料電池に関する出願を担当されておられます。私は、過去に、○○○の研究や 出願などをしていました。燃料電池そのものの仕事ではないですが、過去の私の研究と関連する周辺技術であり、共通する技術もありますので、 過去の知識がお役に立てるかもしれないと思い、御社に志望しました。」
 
 公報のチェックの仕方を知りたい方はこちらをクリック。


体力があることをアピールしてください。力仕事ができる、筋力があるという意味ではなく、長時間働けるか、どれだけ長くパソコンと向きあえるかという意味の体力です。見た目はひょろっとしていても、とりあえず体力がある、徹夜は得意!何時間でもパソコンの前に座っていられるみたいなことを言ってください。この仕事は体力勝負のところがあります。どれだけ長く働いて、どれだけ特許明細書を数多く書けるかが特許事務所の関心事項であり、特許事務所も長時間働いてくれる人を望みます。急に数多くの仕事が入ってきて土日出勤を余儀なくされることもありますので、土日出勤にも精力的に対応してくれる人ならなおさら特許事務所も喜びます。

(例)

「一日中パソコンに向かって作業することは苦ではありせん。12時間でも15時間でも何時間でも大丈夫です。睡眠時間が少なくても大丈夫な体です。」


面接では質問を4~5つ位用意しておいてください。質問がないと、事務所に入りたいという積極性がない、コミュニケーション能力がないと思われます。この仕事は、発明者にヒアリングし、発明者から色々情報を引き出すコミュニケーション能力が求められています。よって質問ができない人間は不向きだと思われてしまいます。なんでも良いので質問は用意しておいてください。

(例)

④とりあえず、明るく大声で話してください。特許事務所では明るい人はそれほど多くいませんので、明るい性格だけで大きくプラスの印象を与えます。特許事務所は面接者に対し、特許明細書の作成を指導したくなる人かどうかも重要なポイントになります。当方も指導をしている身ですが、指導しても何の反応も示さなかったり、小声でぼそぼそ返事や質問をされると、指導のやりがいを感じずにげんなりする場合が多々あります。やはり明るく大きな声で反応される方が指導者からしても楽しくやりがいもあります。「この人なら教えたいなぁ」と特許事務所から思われると採用されやすさはグンッと上がります。
これは面接慣れしていない中小事務所では特に効果的だと思います。


自宅から近い特許事務所を選んだ方がよいです。終電を気にせずに働けるためです。どんな良い特許事務所でも緊急の仕事が入り遅くなる場合がありますので、その時に対応しやすくなります。また交通費を削減する点でも、また深夜残業して終電がなくなった場合のホテル代やタクシー代の削減にもなる点でも特許事務所側にメリットはあります。


大手特許事務所にこだわらないでください。特許事務所に初めて就職する多くの方々が大手特許事務所に入りたがります。そのため、大手特許事務所に募集が集中し、大手特許事務所への就職のハードルは中小特許事務所に比べて高くなります。しかし、大手特許事務所も中小特許事務所も一長一短です。どちらにも良いところがあれば悪いところがあります。大手特許事務所の方が働きやすいかと言えば、絶対にそうであるとは言い切れません。ですので中小特許事務所も視野に入れることをお薦めします。まずは中小特許事務所で働いてみて、それでもやはり大手特許事務所で働きたければ、その時にまた転職活動をすれば良いと思います。中小特許事務所で1~2年くらいのキャリアを積めば特許事務所経験者になりますので、次の転職先として大手事務所に行ける可能性は大幅にアップします。

就職エージェントの利用はそこそこに。就職エージェントに頼り切らないでください。自分でも特許事務所を積極的に探して、履歴書をどんどん送ってください。エージェントの仲介を通じて人を採用すると、仲介成功料として、採用者の数か月分の給料を事務所が就職エージェントに支払わなければなりません。100万円以上を支払うこともあります。特許事務所としては大きな負担であり、なるべくこの負担を減らしたいはずです。また、就職エージェントからの仲介ですと、転職希望者自身が積極的に転職活動していないと見られる可能性があります。就職エージェントが探してきたところを面接にきた「受け身」の姿勢であると思われます。特許事務所の採用側としては、数ある特許事務所からうちの特許事務所をわざわざ探し出し選んでくれる人を採用したいのが義理人情です。

A)エージェントの勧めで面接に来て100万円位の仲介料が発生するAさん。B)積極的に特許事務所を選んで面接に来てくれた、仲介料がゼロ円のBさん。同じ能力の人間がいたら、どちらを選ぶかは明白だと思います。

ただし、就職エージェントも活用した方がよいと思います。就職エージェントにしか開示されていない就職先がたくさんありますし、面接のコツ、履歴書の書き方などのアドバイスも受けることができるメリットがあります。就職エージェントが提案する特許事務所への就職活動と、自分でインターネットを活用して履歴書を送付する就職活動、の両方をバランスよく活用してみてください。


急募は忙しい証拠。インターネット上にある特許事務所の採用情報に「急募」と書かれているものがあります。「急募」すなわち「急いで募集すること」。急いで募集するにはもちろん理由があります。それは多くの人手が不足しているからです。少しくらいの人手不足なら、普通の「募集」に留めるはずです。したがってそういう事務所に入ると、いきなり激務になることが予想されます。もちろんその後、立て続けに人が採用され激務が解消される可能性は十分にあります。しかし、少なくとも初めのうちは激務であることの覚悟はしておいた方がよいでしょう。もし通常の忙しさ位の程度であればラッキーです。また急募であることは、複数の人を採用する予定であったり、なかなか人が入らない状況ですので、面接する候補としては後回しにするのも一つの手だと思います。


知り合いがいれば遠慮なく情報を聞いてください。当たり前のことですが、手に入れられる可能性のある情報は貪欲に仕入れてください。この業界は狭い業界であり、特殊でもあります。したがってこの業界の人は、そんな特殊な世界に入ってくれる人を歓迎する傾向が強いです。相談すると厳しい世界であることをまずは伝えてくるでしょう。でも本当に転職する覚悟があれば、親身になって相談に乗ってくれる人が多いです。相談相手が特許事務所の知り合いに聞いてくれたりもします。狭い業界であるがゆえに特許事務所間のネットワークも色々存在しますので、意外にいろんな情報を手に入れることができます。少なくとも業界で有名なブラック事務所くらいは絶対に教えてくれます。「就職エージェントの方がよく知っているだろう」と思わないでください。転職エージェントは転職させることが目的ですし、転職を躊躇させるような不利な特許事務所の情報は言いたがりません。少しくらい遠い関係の人間でも、まずは「特許事務所に興味あるんだけど相談に乗ってくれない?」みたいな軽い感じでとりあえず連絡を取ってみましょう。聞かずにブラック事務所にでも入所してしまったら後悔しますよ!


⑩特許関係の仕事の経験があるならば、どんなことでも良いから履歴書に書いてください。どの業界の転職でも経験者が優遇されるのが当然です。この特許事務所業界も同じです。多くの特許事務所が経験者を欲しています。例えば、企業で特許のまとめ役をやっていたとか、特許調査をしていたとか、特許明細書を書いた経験があるとか、そういうことが書いていあるだけでも大きくポイントが上がります。面接でも採用側としては話をしやすく、会話が弾む可能性が高くなります。絶対に特許がらみの経験は記載しておいた方が得です。


公開公報のチェックの仕方

(1)特許電子図書館 http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl のサイトへ

(2)「特許・実用新案検索」の「3.公報テキスト検索」を選択

(3)「検索項目選択」で、「代理人」を選択し、「検索キーワード」に、お目当ての特許事務所の所長の名前を入力
 注)特許事務所が、「特許業務法人○○特許事務所」である場合は、「○○特許事務所」を入力する。

(4)さらに、次の「検索項目」で、「公開日」を選択して、公開日の範囲を入力する。 例えば2013年を検索したい場合は、「2013?」というように入力する。 2013年1月1日から2013年6月1日まで検索したい場合は、
「20130101:20130601」というように入力する。
1000件以上ヒットすると詳細が見れなくなるので、1000件以下となるように
公開日の範囲を調節する。

(5)画面下の「一覧表示」をクリック。

(6)「発明の名称」や「出願人」をチェックする。気になるものがあれば、
「公開番号」をクリックして公開公報の中身をサッと見てみるとよいでしょう。

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